ちょっとあらためて考える機会があったので、ハンドサインについて書いてみます。個人的見解も含むので、ご承知おきください。
何故、ハンドサインをするのか?
道路を走っているのは、自分だけではありません。周囲に対して、「これから自分がどういう行動をとるのか」を知らせることが、ハンドサインの目的です。クルマのウィンカーと同じですね。自転車にはウィンカー、ブレーキランプがついていませんので、代わりに手で合図をします。この「事前に周囲に知らせる」ということが非常に重要です。誰でも、急に目の前に飛び出されたら嫌でしょう?ただし、ハンドサインも万能ではありません。周囲の交通の流れを読む事も必要です。
ハンドサインの種類
法律上、右折及び右への進路変更、左折及び左への進路変更、徐行及び停止、後退の4種類が規定されています。(道路交通法第53条、道路交通法施行令第21条)そう、決められているのはこれだけなんです。他はすべてローカルルール。
さて、ハンドサインを個別に見ていきます。
- 左折、左への進路変更
「左腕を車体の左側の外に出して水平にのばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出してひじを垂直に上にまげること。」
二通りの指示方法がありますが、左手をまっすぐ伸ばす方が直感的とか、右手の方がドライバーから見やすいとか、いろいろ意見があると思いますが、個人的にはどちらでもいいんじゃないかと思います。車道左端を走っている自転車が左へ行くので、後続の車両から離れる方向に移動しますので。
- 右折、右への進路変更
「右腕を車体の右側の外に出して水平にのばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出してひじを垂直に上にまげること。」
こちらも二通りの指示方法がありますが、こちらは右手の方が適切と思います。
左手を直角に曲げるハンドサインは、後続のドライバーから視認しにくく、何のサインか分かりにくいと思われます。
- 徐行、停止
「腕を車体の外に出して斜め下にのばすこと。」
交通法規的にはこれが正解です。
徐行、停止の合図に、腰の後ろで手を開閉する人がいますが、「周囲にこれからの行動を知らせる」という目的からも適当ではないと思います。腰の後ろでは、すぐ後ろの人しか見えません。したがって、集団走行の場合、全員がサインを出さないと最後尾まで伝わりません。場合によっては、サインが伝わる前に減速が始まってしまうかもしれません。
また、腰の後ろでは、自動車からも視認しにくいと思われます。(それ以前に何のサインか理解してもらえない可能性が高いと思われます。)
一方、右腕を斜め下に出す方は、間に数人並んでいてもサインが見え、これからの行動を予測しやすくなります。自動車からも識別しやすいと思います。ドライバーが何のサインか理解していなくても、少なくとも腕が横に広がった分だけ余分に避けてくれるでしょう。
- 後退
自転車で後退する事は無いと思いますので、割愛。
ここまでが、法律上で規定されたハンドサインです。
以下は自転車乗りのローカルルールと理解してください。こういうハンドサインを出すことがありますよ、でもこれはドライバーに伝わらないかもしれないから注意してね、ということです。
- ドライバーへの指示
道路を走っていれば、対向車が右折してくる事も、左の道路から自動車が出てくる事もあります。ルール上は直進車が優先ですが、スポーツバイクの速度を知らない自動車が目の前にでてくることがあります。
これを避けるために、出てきて欲しくない自動車に向かって、手のひらを向けるサイン(止まってくれという意思表示)を出しています。
また、左折専用レーンから直進する場合、直進する事を示すために、右手を肩の後ろから前方に向かって振り出すサインを出しています。
これらは、自動車に向かって、自分の行動を示すためにやっていますが、ドライバーは何のサインか理解していない可能性も十分考えられるので、注意して走行しましょう。
なお、ドライバーが止まって待っていてくれたら、通過する際に挨拶も忘れずに。ドライバーに好印象を与えれば、次も止まってくれるかもしれません。
- 後続の自転車への指示
集団走行時は、前のライダーの陰になって、道路状況を十分把握できなくなります。
集団先頭のライダーは障害物を見つけたら、後方のライダーに対して、情報を伝えます。
路面の穴や、落下物、段差の場合は、指差しで示します。路上駐車や歩行者など避けるべきものが前方にある場合は、障害物がある側の手を体の後ろで振って、避けるように指示します。これは、手を立てて腕を横に曲げ伸ばしする人もいるようです。(これだと右左折と紛らわしい気もしますが...)
また、スピードダウンの指示で、手のひらを下に向けて、体の脇で上下させる事もあります。
その他
ここまで、ハンドサインに注目して書いてきましたが、ハンドサインだけではなく、声掛けも併用しましょう。ハンドサインが間に合わない場合や、見落とす可能性もあります。でも、耳を塞いでいなければ、下を見ていても声は聞こえるはずです。
また、後ろからクルマが来ている事もハンドサインでは伝えられません。後ろから前方に声で伝達して行きましょう。(たまに、来ると思ったクルマが来なかったりする事もありますが...)
では、安全に気をつけて、楽しいサイクリングライフを!
コメントする